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朝起きると腰が痛いのはなぜ?理学療法士が原因と対処法をわかりやすく解説

腰痛
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この記事は理学療法士・認定マッケンジーセラピストが執筆しています。

はじめに

「朝、起き上がるときに腰が痛い」
「夜中にトイレへ行こうとすると腰が痛む」
「起きてしばらくは腰が重だるい」

このような経験はありませんか?

臨床現場でも「朝だけ腰が痛い」という相談は非常に多く聞かれます。実際「朝起きてから1時間ほどで痛みが和らぐ」という方は多く、これは朝特有の身体の状態が関係していると考えられます。

朝の腰痛というと「年齢のせい」「寝具が悪い」と思われがちですが、実際にはそれだけではありません。寝ている間の姿勢・寝具・起き上がり方・日中の過ごし方など、さまざまな要因が関係しています。

なお、日中のデスクワークが原因で起こる腰痛については別の記事で詳しく解説しています。あわせて読んでみてください。

長時間座ると腰が痛いのはなぜ?理学療法士が原因と対処法をわかりやすく解説 | 痛みを抱えない毎日へ

この記事では理学療法士の視点から、朝起きると腰が痛くなる原因・今日からできる対処法・医療機関を受診した方がよいケースをわかりやすく解説します。

原因① 合わない寝具や不自然な寝姿勢

朝の腰痛でまず確認したいのが「どのような姿勢で寝ているか」です。

人は1日の約3分の1を寝て過ごします。睡眠時間を8時間とすると、1年で約2,900時間も寝ている計算になります。そのため寝姿勢や寝具の影響は決して小さくありません。

こんなケースは要注意

• マットレスが柔らかすぎる、または硬すぎる
• 枕の高さが合っていない
• うつ伏せで寝ることが多い
• 横向きで身体を強く丸めて寝ている

特にマットレスが柔らかすぎると腰が沈み込み、背骨が「く」の字に曲がった状態で一晩中過ごすことになります。

原因② 起き上がり方が負担になっている

「どう起きるか」も、朝の腰の痛みに関係している可能性があります。

特に多いのが、脚を伸ばしたまま、腹筋を使って一気に起き上がる方法です。

なぜ腰に負担がかかるのか?

寝ている間、体は長い時間あまり動いていません。その状態から一気に状態を起こすと、腰を丸める動きと力が一度に加わります。

後ほど説明するように、朝の腰は前かがみの負担を受けやすい状態でもあるため、この起き方で痛みが出やすい方がいます。

起き上がり方の一例

  1. まず横向きになる
  2. ベッドの端へ移動する
  3. 足を先に床へ下ろす
  4. 手で身体を支えながらゆっくり起き上がる

臨床では、腰が痛いときにこの方法のほうが楽に起きられる、という方が多くいます。「痛みが出にくい起き方を探す」くらいの気持ちで試してみてください。

原因③ 朝は腰の「クッション」がふくらんでいる

背骨と背骨の間には、椎間板(ついかんばん)というクッションの役割をする組織があります。

寝ている間は背骨に体重がかからないため、椎間板は水分を含んでふくらみます。そのため朝は、日中よりもクッションが張った状態になっています。研究でも、起きてすぐの時間帯は、前かがみの動きで腰にかかる負担が大きくなりやすいことが報告されています。

この状態で

・前かがみになる
・靴下を履く
・顔を洗う

といった動作をすると、腰に負担がかかり、痛みが出やすくなる可能性があります。

慢性的な腰痛がある方を対象にした研究では、起きてからしばらくの間、前かがみの動きを控えるよう指導されたグループで、痛みが軽くなったという報告もあります。朝起きてすぐの前かがみが特につらい方は、この時間帯の動き方を工夫してみる価値があります。

ただし、椎間板の状態だけで一人ひとりの痛みを説明できるわけではありません。寝姿勢、体の硬さ、筋肉の緊張、日中の負担なども複雑に関係しています。

臨床で感じること

朝の腰痛の相談を受けていると、「起きてしばらく動くと痛みが和らぐ」という方は少なくありません。起きて動き出すことで体のこわばりがほぐれていくことや、椎間板の状態の変化が関係していると考えられます。

そのため、痛みがあっても安静にしすぎず、楽な範囲で少しずつ体を慣らしていくことが大切だと感じています。

ただし、次のような特徴がいくつか当てはまる場合は、一般的な朝の腰痛とは違う可能性があります。

・朝のこわばりが30分以上続く
・動くと楽になり、休んでいても良くならない
・3か月以上続いている
・45歳未満で症状が始まった
・夜中の後半に、痛みで目が覚める

このような場合は、背骨や関節の炎症が関係していることもあるため、一度、整形外科やリウマチ科で相談してみてください。

自分でできる寝具チェック

寝具が合っているか、次のような点が目安になります。どれも簡単な目安で、正確に判定できるものではありません。

マットレスの硬さの考え方

「腰痛には硬いマットレスが良い」と言われることがありますが、硬ければ良いとは限りません。慢性的な腰痛がある方を対象にした研究では、中くらいの硬さのマットレスのほうが、硬いマットレスよりも、寝ているときの痛みや生活の支障が軽くなったという結果が出ています。

目安としては、

・腰が沈み込んで寝返りが打ちにくい → 柔らかすぎる可能性
・腰やお尻が当たって痛い、寝返りのたびに目が覚める → 硬すぎる可能性

最終的には、実際に寝てみて、朝起きたときの痛みやこわばりがどう変わるかで判断するのが確実です。

枕の高さチェック

仰向けに寝たときの状態を確認してください。

• あごが上を向く → 枕が低すぎる
• あごが胸に近づく → 枕が高すぎる
• 目線がまっすぐ天井〜やや足側を向く → ちょうどよい

当てはまるものがあれば、寝具の見直しを検討してみましょう。

今日から試せる対処法3選

① 横向きになってから起き上がる

朝起きるときは勢いよく起きず、一度横向きになってから、手で体を支えて起きることを習慣にしてみましょう。腰への負担を減らせる可能性があります。

また、起きてから1〜2時間ほどは、顔を洗う・靴下を履くといった前かがみの動作を、膝を軽く曲げる、椅子に座って行うなど、腰を深く丸めない工夫をすると楽になる方もいます。

② 起きる前に布団の中で軽く動かす

いきなり起き上がるのではなく、布団の中で体を慣らしてから起きてみましょう。

・両膝を立てて、左右にゆっくり倒す(痛みのない範囲で5回ずつ)
・深呼吸を3回する

膝を抱えて腰を丸める動きは、楽になる方もいれば、朝は逆に痛みが強くなる方もいます。試す場合は軽く行い、やったあとに痛みが軽くなるか、強くなるかを確かめてください。痛みが強くなる、脚へ広がる場合は中止しましょう。

反対に、腰を軽く反らす動きで楽になるタイプの腰痛もあります。詳しくは次の記事で解説しています。

腰が痛いとき、反ってはいけない?|実は「反ると楽になる」腰痛があります
この記事は理学療法士・認定マッケンジーセラピスト(Cred. MDT)が執筆しています。整形外科外来やリハビリの現場での経験をもとに、できるだけ専門用語を使わず、わかりやすく解説します。腰が痛いとき、あなたはどうしていますか。「痛いんだから…

③ 寝具と寝る姿勢を見直す

先ほどの目安で気になる点があれば、見直してみましょう。

横向きで寝る方は、膝の間にクッションを挟むと骨盤のねじれが減り、腰が楽になる方もいます。仰向けで寝る方は、膝の下に丸めたタオルを入れると楽に感じる方もいます。

抱き枕タイプのものを使うと、膝の間に挟みやすく、寝ている間もずれにくくなります。

⚠️ こんな場合は医療機関への相談を

以下に当てはまる場合は注意が必要です。早めに整形外科への相談をおすすめします。

・足に痛みやしびれがあり、広がっている
・足に力が入りにくい
・尿や便が出にくい、股の周りの感覚が鈍い
・じっとしていても痛い、夜間の痛みが強い
・発熱や、原因の分からない体重減少がある
・がんの治療歴がある
・転倒や事故のあとから痛みが出た
・症状が徐々に悪化している

このような場合は椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・炎症性の病気などが関係している可能性もあります。

特に、尿や便の異常、股の周りの感覚の鈍さ、足に急に力が入らなくなった場合は、すぐに医療機関を受診してください。

まとめ

朝起きるときの腰痛は、寝具や寝姿勢・起き上がり方・寝ている間の負担などが関係しています。

大切なのは原因を1つに決めつけないことです。まずは

• 横向きになってから起き上がる
• 起きる前に布団の中で軽く動かす
• 寝具と寝姿勢を見直す

この3つを試してみてください。試しながら、痛みが楽になるかどうかを確かめ、自分に合う方法を探していきましょう。

症状が続く場合は早めに整形外科などの医療機関へ相談することをおすすめします。

よくある質問

Q. 朝の腰痛は寝具を変えれば治りますか?
A. 寝具が合っていないことは一因になりますが、それだけとは限りません。起き上がり方や、朝特有の椎間板の状態も関係しているため、あわせて見直すことをおすすめします。

Q. 朝起きてすぐにストレッチをしても大丈夫ですか?
A. 強い痛みがなければ、楽な範囲で体を慣らす程度の動きは問題ないことが多いです。ただし、起きてすぐは前かがみの負担を受けやすい時間帯でもあるため、腰を大きく丸めるストレッチは避け、布団の中で少しずつ動かすことから始めましょう。

Q. 何日も朝の腰痛が続く場合はどうすればいいですか?
A. 数日様子を見ても改善しない場合や、足のしびれ・夜間の強い痛みを伴う場合は、早めに整形外科へ相談することをおすすめします。

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参考文献

  • 日本整形外科学会, 日本腰痛学会 監修. 腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版. 南江堂; 2019.
  • McKenzie R, May S. The Lumbar Spine: Mechanical Diagnosis and Therapy. 2nd ed. Spinal Publications New Zealand; 2003.
  • Adams MA, Dolan P, Hutton WC. Diurnal variations in the stresses on the lumbar spine. Spine. 1987;12(2):130-137.
  • Snook SH, Webster BS, McGorry RW, Fogleman MT, McCann KB. The reduction of chronic nonspecific low back pain through the control of early morning lumbar flexion. Spine. 1998;23(23):2601-2607.
  • Kovacs FM, et al. Effect of firmness of mattress on chronic non-specific low-back pain: randomised, double-blind, controlled, multicentre trial. Lancet. 2003;362(9396):1599-1604.

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