この記事は理学療法士歴7年・認定マッケンジーセラピストが執筆しています。
はじめに

「長時間座っていると腰が痛くなる」
「デスクワーク後に立ち上がるときがつらい」
「腰だけでなく、お尻や足まで痛みやしびれが出る」
このような悩みはありませんか?
近年、デスクワークやスマホの使用時間が増え、座っている時間が長くなっている人は少なくありません。実際、海外・国内の研究でも、長時間座り続けることや同じ姿勢の持続が腰痛の原因になりやすいと報告されています。
腰痛というと「姿勢が悪いから」と思われがちですが、実際にはそれだけではありません。
この記事では、理学療法士の視点から
- なぜ長時間座ると腰が痛くなるのか
- どんな人が悪化しやすいのか
- 今日からできる対策
をわかりやすく解説します。
セルフチェック
以下の項目に当てはまるものがあるか確認してみましょう。
• 座っているとき、気づくと1時間以上同じ姿勢のままでいる
• 姿勢を良くしようと意識するほど、かえって疲れやすい
• 座っているときより、立っているときの方が腰がラク
• 椅子から立ち上がる瞬間に腰が痛む
• 長時間の会議やデスクワークの後、腰が重だるくなる
3つ以上当てはまる場合は、この記事の内容が参考になるかもしれません。
あくまで目安であり、診断ではありません。
原因① 長時間同じ姿勢を続けている
最も多い原因のひとつが「長時間同じ姿勢を続けること」です。
なぜ同じ姿勢が悪いのか?
人の身体は本来「動く」ことで負担を全身に分散しています。しかし長時間座り続けると、腰の筋肉・椎間板(背骨と背骨の間にあるクッション)・関節に負担がかかり続けます。
特に30〜60分以上同じ姿勢が続くと、筋肉が緊張して血の流れが悪くなりやすいと言われています。
その結果、
- 腰の重だるさ
- 立ち上がるときの痛み
- お尻の張り
などにつながります。
「良い姿勢」でも痛くなることがある
実は「良い姿勢を頑張り続けること」も身体への負担になります。大切なのは完璧な姿勢を維持することではなく、こまめに姿勢を変えることです。
臨床でも「ずっと姿勢に気をつけているのに腰が痛い」という方は非常に多く、姿勢よりも動く頻度の方が重要なケースがほとんどです。
原因② 身体に合っていない環境、デスク環境も腰痛に大きく関係します。

- 椅子が低すぎる
- パソコンの画面位置が低い
- 浅く腰かけている
- 足裏が床につかない
このような環境だと、背中が丸まる・骨盤が後ろに倒れる・腰だけに負担が集中しやすくなります。特にノートパソコンを見下ろす姿勢では、首だけでなく腰への負担も増えやすくなります。
よくあるパターン
- ソファでパソコン作業をしている
- 低いテーブルで長時間作業している
- 浅く座る癖がある
- 椅子の高さが合っていない
思い当たる方はまず環境の見直しから始めましょう。
原因③ 背中が丸まる姿勢・反り腰姿勢
腰痛では「背中が丸まる姿勢」と「反り腰姿勢」の両方が関係することがあります。
背中が丸まる姿勢
長時間座っていると骨盤が後ろに倒れ、背中が丸まりやすくなります。この状態では腰の筋肉や椎間板への負担が増えやすくなります。
デスクワーク中に気づいたら背中が丸まっている、という方はこのタイプが多いです。
反り腰姿勢
逆に腰を反らしすぎる姿勢では、腰の関節や背中の筋肉に負担が集中しやすくなります。「姿勢を良くしようとして腰を反りすぎてしまう」ケースは臨床でも非常に多く見られます。
大切なのは「反らない・丸めない」ではなく、どちらかに偏り続けないことです。
臨床で感じること
臨床で腰痛の相談を受けていると、共通して気づくことが2つあります。
ひとつは、「ずっと姿勢に気をつけているのに腰が痛い」という方が非常に多いことです。良い姿勢を維持しようと頑張るほど、かえって身体への負担が増えてしまっているケースが少なくありません。大切なのは姿勢の正しさよりも、こまめに動くことだと感じています。
もうひとつは、「姿勢を良くしようとして、腰を反りすぎてしまう」方が多いという点です。丸まった姿勢を直そうとするあまり、今度は反対方向に偏りすぎてしまい、それが新たな負担につながっていることがあります。
つまり、「正しい姿勢を維持すること」よりも、「同じ姿勢・同じ偏りに固定されないこと」の方が、腰への負担を減らすうえで重要だ、というのが現場での実感です。
今日からできる対処法3選
① 30〜60分ごとに立ち上がる
最も重要なのは「同じ姿勢を続けすぎないこと」です。
- 一度立ち上がる
- 少し歩く
- 軽く背伸びをする
これだけでOKです。スマホのタイマーを30〜60分にセットして、鳴ったら必ず立ち上がる習慣をつけましょう。
② デスク環境を見直す
椅子の高さ・パソコンの画面位置・足裏が床につくかどうかを確認してください。
目安
- 膝が約90度に曲がる椅子の高さ
- 肘が約90度になる机の高さ
- パソコンの画面上端が目線の高さ
この3つを意識するだけで腰への負担が大きく変わります。
椅子の高さ調整だけでは腰が支えきれないと感じる場合は、腰当てクッションを使うのも一つの方法です。座った姿勢での腰の負担を軽減しやすくなります。
③ 腰を反らすストレッチをする

長時間座り続けると、腰は丸まった状態が続きます。そのため座った後は腰を反らす方向に動かすことが効果的です。
やり方
- 立った状態で両手を腰に当て、ゆっくり後ろに反らす。5〜10秒キープして戻す。これを5回繰り返す。
- 反らすときに痛みや足へのしびれが出る場合は無理をせず中止してください。
- また股関節周囲も硬くなりやすいため、お尻を軽くほぐす運動も合わせて行うとより効果的です。
こんな症状がある場合は医療機関へ
以下に当てはまる場合は、単純な腰痛以外の可能性があります。放置せず早めに整形外科への相談をおすすめします。
- 足に強いしびれがある
- 足に力が入りにくい
- じっとしていても痛い
- 夜寝ているときも痛みが続く
- 痛みが長期間続いている・だんだん悪化している
腰痛の中には椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など、専門的な治療が必要な病気が隠れている場合もあります。「ただの腰痛」と我慢しすぎず、気になる症状がある場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ
長時間座ることで起こる腰痛は、同じ姿勢の持続・デスク環境・姿勢の偏りなどが大きく関係しています。
重要なのは「正しい姿勢を維持し続けること」ではなく、
- こまめに立ち上がって動く
- デスク環境を整える
- 腰を反らすストレッチを習慣にする。
まずは今日、座り続けている時間・デスク環境・休憩の頻度を見直すところから始めてみましょう。
よくある質問
Q. 正しい姿勢を意識しているのに腰が痛いのはなぜですか?
A. 姿勢を固定しようと意識しすぎることで、かえって身体への負担が増えていることがあります。正しさよりも、こまめに姿勢を変えることの方が大切な場合があります。
Q. 座るときは反り腰と猫背、どちらが良いですか?
A. どちらか一方に偏り続けることが負担になります。反らしすぎず、丸めすぎず、時々姿勢を変えることを意識しましょう。
Q. 長時間座る仕事はどのくらいの頻度で休憩を取るべきですか?
A. 30〜60分に1回は立ち上がり、軽く歩く・伸びをするなどして、同じ姿勢を続けないようにするのがおすすめです。
参考文献
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
- Andersson GB. Epidemiological features of chronic low-back pain. Lancet. 1999;354(9178):581-585.
- Dankaerts W, O’Sullivan PB, Burnett A, Straker LM. Differences in sitting postures are associated with non-specific chronic low back pain disorders when sub-classified. Spine (Phila Pa 1976). 2006;31(6):698-704.
- McKenzie R. Treat Your Own Back. Spinal Publications. 1980.


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