この記事は理学療法士歴7年・認定マッケンジーセラピストが執筆しています。
はじめに

「マッサージに行っても翌日には元に戻る」
「湿布を貼っても一時的にしか楽にならない」
「肩こりと長年付き合っているが一向に改善しない」
このような悩みはありませんか?
肩こりは日本人にとても多い症状のひとつです。厚生労働省の国民生活基礎調査では、肩こりは女性で自覚症状1位、男性でも上位に入る症状とされています。
しかし多くの方が「マッサージや湿布で一時的に楽になるが、またすぐ戻る」という経験をしています。
なぜ肩こりは繰り返すのでしょうか?
それは、根本的な原因にアプローチできていないからです。
この記事では理学療法士の視点から、なぜ肩こりが繰り返すのか、ストレスと肩こりはなぜ関係するのか、根本から改善するために今日からできることを、一般の方向けにわかりやすく解説します。
セルフチェック
以下の項目に当てはまるものがあるか確認してみましょう。
• マッサージに行っても、数日でまた元の状態に戻る
• 仕事のストレスが強い時期ほど、肩こりがひどくなる
• 夜、なかなか寝つけない、または眠りが浅いと感じる
• 肩を回すと、ゴリゴリと音がしたり詰まった感じがする
• 気づくと肩がすくんで、耳に近づいている
3つ以上当てはまる場合は、この記事の内容が参考になるかもしれません。
あくまで目安であり、診断ではありません。
原因① 姿勢の問題だけではない
肩こりというと「姿勢が悪いから」と思われがちです。しかし実際には姿勢だけが原因ではありません。
マッサージで治らない理由
マッサージや湿布は筋肉の緊張を一時的にほぐすことはできます。しかしなぜ筋肉が緊張するのかという根本原因を解決しない限り、繰り返します。
臨床でも「毎週マッサージに通っているのに治らない」という方は非常に多く、原因を特定せずにいるケースがほとんどです。
姿勢より「動かない時間」が問題
実は完璧な姿勢を維持することより、同じ姿勢を続けすぎることの方が問題です。
良い姿勢でも30〜60分動かないでいると筋肉が緊張し血流が低下します。大切なのは姿勢を正すことではなく、こまめに姿勢を変えることです。
原因② 心理社会的ストレス

肩こりは筋肉だけの問題ではありません。これが多くの人が見落としている最大のポイントです。
ストレスでなぜ肩がこるのか?
ストレスを感じると人の身体は無意識に緊張します。
具体的には、
- 肩に力が入る、
- 呼吸が浅くなる、
- 食いしばりが増える、
- 睡眠の質が低下するなどが起こります。
この状態が続くことで首や肩周囲の筋肉が休まりにくくなります。
日本人の肩こりの特徴
実は「肩こり」という概念は日本特有のものとも言われています。
海外では「neck pain(首の痛み)」として扱われることが多く、日本人の肩こりは心理社会的ストレスとの関連が特に強いと報告されています。
臨床でも仕事のストレス・家庭環境・睡眠不足を抱えている人ほど肩こりが慢性化しているケースは少なくありません。
マッサージだけで治らない方は、ストレス管理も同時に見直すことが重要です。
原因③ 肩甲骨が動いていない
運動不足の中でも特に肩こりに関係するのが肩甲骨の動きの低下です。
肩甲骨が動かないと何が起きる?
肩甲骨は背骨と肩をつなぐ重要な骨です。デスクワーク中心の生活では肩甲骨が長時間同じ位置に固定されます。
すると、肩甲骨周囲の筋肉が硬くなる、血流が低下する、首や肩だけで頭を支える状態になるという悪循環が生まれます。
肩甲骨が動いているか確認する方法
腕を真横に広げてゆっくり後ろに引いてみてください。このとき肩甲骨が背骨に向かって寄る感覚があれば正常です。肩だけが動いて肩甲骨が動かない方は要注意です。
臨床で感じること
肩こりの相談を受けていて、共通して感じることが2つあります。
ひとつは、「毎週マッサージに通っているのに治らない」という方が非常に多いことです。マッサージ自体は悪いものではありませんが、緊張を一時的にほぐしているだけで、なぜ緊張するのかという根本原因(ストレス・動かない時間・肩甲骨の動き)にアプローチできていないケースがほとんどです。
もうひとつは、仕事のストレス・家庭環境・睡眠不足を抱えている方ほど、肩こりが慢性化しやすいという点です。実際、睡眠の質が上がっただけで肩こりが軽くなる方も臨床では少なくありません。
つまり、肩こりは筋肉だけの問題ではなく、生活全体の状態が反映されている症状だ、というのが現場での実感です。
根本から改善するための対処法3選
① ストレス管理と睡眠を見直す
姿勢や運動だけでなくストレス管理も肩こり改善には欠かせません。
• 寝る前にスマホを見る時間を減らす
• 入浴で身体を温める
• 深呼吸を意識する
睡眠の質が上がるだけで肩こりが改善するケースは臨床でも多く見られます。
② 肩甲骨を意識的に動かす
肩甲骨寄せ運動
椅子に座った状態で両肘を90度に曲げ、肘を後ろに引きながら肩甲骨を背骨に向かって寄せる。
5秒キープして戻す。これを10回繰り返す。
胸のストレッチ
両手を後ろで組み胸を軽く開いて10秒キープ。1日数回行うだけでも効果的です。

③ 30〜60分ごとに立ち上がって動く
同じ姿勢を続けすぎないことが最も重要です。
スマホのタイマーを30〜60分にセットして鳴ったら必ず立ち上がる習慣をつけましょう。
⚠️ こんな症状がある場合は医療機関へ
以下に当てはまる場合は単純な肩こり以外の可能性があります。早めに整形外科への相談をおすすめします。
• 手や腕にしびれがある
• 力が入りにくい
• 安静にしていても強く痛む
• 夜間も痛みが続く
• 頭痛やめまいを伴う
• 症状が長期間続いている
肩こりの中には頚椎疾患・神経症状・肩関節疾患などが関係している場合もあります。
「ただの肩こり」と我慢しすぎず必要に応じて専門家へ相談することも大切です。
まとめ
肩こりが治らない本当の理由は、マッサージで一時しのぎをしているだけ、ストレスという根本原因を見落としている、肩甲骨が動いていないことにあります。
姿勢を正すことだけに意識を向けるのではなく
• ストレス・睡眠を見直す
• 肩甲骨を意識的に動かす
• こまめに身体を動かす
この3つを同時に取り組むことが慢性的な肩こりの改善につながります。
まずは今日、ストレスの状態・睡眠の質・肩甲骨が動いているかを見直すところから始めてみましょう。
よくある質問
Q. マッサージに行っても肩こりが治らないのはなぜですか?
A. マッサージは緊張した筋肉を一時的にほぐす効果がありますが、ストレスや動かない時間の長さ、肩甲骨の動きの悪さといった根本的な原因にアプローチできていないと、繰り返し症状が戻ってきてしまうことがあります。
Q. ストレスと肩こりは本当に関係ありますか?
A. 関係があると考えられています。ストレスが続くと筋肉の緊張が高まりやすくなり、それが肩こりの慢性化につながることがあります。
Q. 肩こりを根本から改善するにはどうすればいいですか?
A. マッサージだけに頼らず、姿勢・ストレス・肩甲骨の動きの3つを見直すことが大切です。特に肩甲骨を動かす習慣は、日常生活の中で取り入れやすい対処法です。
参考文献
• 厚生労働省 国民生活基礎調査(令和4年など、具体的な年度を明記するとより正確)
• 矢吹省司, 菊地臣一. 肩こりの病態. 臨床整形外科. 36(11).(巻号は確認済み。ページ番号は医書.jpで最終確認をおすすめします)
• Hush JM, Michaleff Z, Maher CG, Refshauge K. Individual, physical and psychological risk factors for neck pain in Australian office workers: a 1-year longitudinal study. Eur Spine J. 2009;18:1532-1540.


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