デスクワークで首・肩が痛くなる原因とは?理学療法士が対処法をわかりやすく解説

首・肩こり

この記事は理学療法士歴7年・認定マッケンジーセラピストが執筆しています。

はじめに

「長時間パソコン作業をしていると首や肩が痛くなる」
「仕事終わりには肩がガチガチ」
「最近、頭痛や目の疲れまで感じる」

このような悩みはありませんか?

現在、日本では多くの人がデスクワーク中心の働き方をしています。デスクワークでは、30〜60分以上同じ姿勢が続く人も少なくありません。

しかし人の身体は、本来「動く」ことで血流を保っています。そのため長時間同じ姿勢が続くと、首・肩・背中の筋肉が緊張し続け、疲労しやすくなります。

海外の研究でも、長時間の座位は首・肩の不調や腰痛との関連が報告されています。さらに糖尿病や心血管疾患など、全身の健康リスクとの関係も指摘されています。

この記事では、理学療法士の視点からなぜデスクワークで首や肩が痛くなるのか、何が原因なのか、どう対処すれば良いのかを、一般の方にもわかりやすく解説します。

まずはセルフチェック

以下の項目に当てはまるものがあるか確認してみましょう。


• 気づくと同じ姿勢のまま、30分以上動かずにいることが多い
• モニターの位置が目線より低い、または高い
• 椅子に浅く座り、背もたれを使っていない
• 夕方になると首や肩が重だるくなる
• 休憩中もスマホを見て、同じ姿勢が続いている

3つ以上当てはまる場合は、この記事の内容が参考になるかもしれません。
あくまで目安であり、診断ではありません。

原因① 環境面の問題(モニター位置・椅子の高さ)

デスクワークで最も多い原因のひとつが「作業環境」です。

特に多いのが、モニター位置が低い、ノートパソコンを見下ろしている、椅子が低すぎる、肘の位置が合っていないというケースです。

人の頭の重さは約4〜6kg。これはボウリング球ほどの重さです。

本来は首の真上に頭が乗ることで、筋肉への負担を最小限にしています。しかし猫背・顔が前に出る姿勢・下を向く姿勢になると、首や肩の筋肉が常に頭を支え続ける状態になります。

特に「頭が前に出る姿勢(Forward Head Posture)」では、頭が2.5cm前に出るごとに首への負担が約2倍増えるとも言われています。

その結果、

  • 首こり
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 背中の張りにつながります。

思い当たる方は、まず環境の見直しから始めましょう。

原因② 同じ姿勢を続けている

実は「悪い姿勢」だけが問題ではありません。良い姿勢でも、長時間動かないこと自体が身体への負担になります。

筋肉は動くことで血流が保たれます。しかし長時間同じ姿勢を続けると、筋肉が緊張し続ける、血流が低下する、疲労物質がたまりやすくなることで、痛みやだるさにつながります。

大切なのは「完璧な姿勢を維持すること」ではなく「こまめに姿勢を変えること」です。

原因③ 身体の使い方・筋力低下

デスクワーク中心の生活では、身体を動かす機会が減ります。すると、背中・お腹・肩甲骨周囲の筋肉が弱くなりやすくなります。

本来、身体は複数の筋肉が協力して姿勢を支えています。しかし一部の筋肉がうまく使えなくなると、首や肩の筋肉だけで頑張る状態になります。その結果、首がこる・肩が張る・疲れやすい・姿勢が崩れるという悪循環になります。

臨床で感じること

首・肩の痛みでいらっしゃる方の姿勢を見ていると、共通して気づくことが2つあります。


ひとつは、「同じ姿勢が長時間続いている」という点です。デスクワーク中、無意識のうちに何十分、何時間も同じ姿勢のまま固まってしまっている方がとても多く、痛みの強さよりも「動かしていない時間の長さ」の方が、症状と関係しているように感じることが少なくありません。


もうひとつは、猫背の姿勢が続くことで、姿勢を支える筋力そのものが落ちている方が多いという点です。丸まった姿勢が習慣化すると、本来姿勢を支えるはずの背中や首まわりの筋肉があまり働かなくなり、少し姿勢を正しても、その姿勢を維持する力が続かない、という状態になっていることがあります。


つまり、「姿勢が悪いから痛い」というより、「同じ姿勢を続けすぎて、支える筋力が落ちている」ことが、痛みの背景にあるケースが多い、というのが現場での実感です。

今日からできる対処法3選

①モニターの高さを調整する

モニターは「目線の高さ」に近づけるのがおすすめです。特にノートPCは画面位置が低くなりやすいため、PCスタンドと外付けキーボードを使うだけでも首への負担は大きく変わります。

目安は

  • 画面上端が目線の高さ
  • 肘は約90度
  • 足裏が床につく状態です。

②30〜60分ごとに身体を動かす

完璧な姿勢を維持するより「こまめに動く」方が重要です。

  • 立ち上がる、
  • 肩を回す、
  • 軽く歩く、
  • 背伸びする

だけでOKです。タイマーを使って意識的に動く習慣をつけましょう。

③肩甲骨と胸を動かす

デスクワークでは胸の筋肉が硬くなり、肩甲骨が動かなくなる人が多く見られます。

両手を後ろで組み胸を軽く開いて10秒キープ、肩を大きくゆっくり後ろに5回まわすだけでも姿勢改善のきっかけになります。

こんな症状がある場合は医療機関へ

以下に当てはまる場合は、単なる肩こり以外の可能性があります。放置せず早めに整形外科への相談をおすすめします

  • 手や腕にしびれがある、
  • 力が入りにくい、
  • 夜間も痛みが続く、
  • 安静にしていても痛い、
  • 頭痛やめまいを伴う。

まとめ

デスクワークによる首・肩の痛みは、作業環境・同じ姿勢の持続・身体機能の低下が大きく関係しています。重要なのは「良い姿勢を頑張り続けること」ではなく、環境を整える、身体をこまめに動かす、偏った負担を減らすことです。

まずは今日、モニターの高さ・座る姿勢・休憩頻度を見直すところから始めてみましょう。

よくある質問

Q. デスクワーク中の首・肩の痛みは、姿勢を良くすれば治りますか?
A. 姿勢の改善は大切ですが、それだけでは不十分なことがあります。同じ姿勢を続けている時間の長さや、姿勢を支える筋力の低下も関係しているため、環境調整・こまめに動くこと・筋力を使う運動を組み合わせるのがおすすめです。


Q. 痛みがあるときは安静にした方がいいですか?
A. 強い痛みや痺れがある場合は無理をしないことが大切ですが、軽い痛みであれば、完全に安静にするよりも、適度に身体を動かした方が改善しやすいことがあります。

Q. モニターの高さを調整しても改善しない場合はどうすればいいですか?
A. 環境を整えても改善しない場合、長時間同じ姿勢が続いていないか、姿勢を支える筋力が低下していないかを見直してみましょう。それでも改善しない場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。

参考文献

  • 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
  • Owen N, et al. Sedentary behavior and health → de Rezende LF, Lopes MR, Rey-López JP, Matsudo VK, Luiz OC. Sedentary behavior and health outcomes: an overview of systematic reviews. PLoS One. 2014;9(8):e105620.
  • Straker L, et al. Neck pain associated with computer use → Green BN. A literature review of neck pain associated with computer use: public health implications. J Can Chiropr Assoc. 2008;52(3):161-167.
  • Hansraj KK. Assessment of stresses in the cervical spine caused by posture and position of the head. Surg Technol Int. 2014

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