寝ても疲れが取れない人に共通する身体の使い方とは?理学療法士がわかりやすく解説

姿勢・体の使い方

この記事は理学療法士歴7年・認定マッケンジーセラピストが執筆しています。

はじめに

「しっかり寝たはずなのに疲れが残る」

「朝から身体が重い」

「休日にたくさん寝ても疲れが抜けない」

このような悩みはありませんか?

実際にリハビリの現場でも、起き上がるのがつらい、6〜8時間寝ても疲れが取れない、常に身体がだるい、という相談を受けることがあります。

ただし、「疲れが取れない」原因は1つではありません。

例えば、睡眠時無呼吸症候群・貧血・甲状腺の病気・うつ・睡眠不足・栄養不足などの医療的な要因が関係していることもあります。

今回の記事では、理学療法士の専門である「身体の使い方・姿勢・動きの効率」に焦点を当てて解説します。

疲れにはさまざまな原因がある

一般的に疲労には、睡眠不足・運動不足・栄養バランスの偏り・ストレス・生活リズムの乱れなどが関係するとされています。

そのため、「身体の使い方だけが原因」ではありません。まずは生活習慣や体調面も含めて考えることが大切です。

理学療法士が注目する身体の使い方

① 長時間同じ姿勢

デスクワークやスマートフォンの使用時間が長い人は注意が必要です。

筋肉は本来、動くことで血流が保たれます。しかし、30〜60分以上同じ姿勢が続くと、首・肩・背中・腰などの筋肉が緊張し続けます。

その結果、疲労感や身体の重さにつながることがあります。

長時間のデスクワークによる姿勢の崩れについては、猫背を自分で改善する方法の記事も参考になります。

② 無意識の力み

疲れやすい人によく見られる特徴の1つが、「常に力が入っている」状態です。

例えば、肩がすくんでいる、歯を食いしばる、常に緊張している、など。

こうした力みは習慣的なものだけでなく、股関節や足関節など身体の他の部位が硬くなっていることも一因です。動きにくい関節をかばおうとして、無意識のうちに別の部位に力が入り続けることがあります。

この状態では筋肉が休めず、余計なエネルギーを使い続けてしまいます。

③寝返りが少ない

寝返りは、身体の一部に負担が集中しないようにするための自然な動きです。

寝返りが少ないと、同じ部位に圧力がかかり続け、朝起きたときの身体の重さやだるさにつながることがあります。

④大きな筋肉を使えていない

疲れやすい人によく見られるのが、本来使うべき大きな筋肉(お尻や体幹)ではなく、小さな筋肉(首・肩・腰)ばかりで身体を支えてしまうパターンです。

例えば、椅子から立ち上がるときに手で支える、物を持つときに腰だけで持ち上げる、など。

こうした使い方が続くと、一部の筋肉だけが疲れ、全身の疲労感につながります。

臨床で感じること

「寝ても疲れが取れない」という相談を受けていて、共通して気づくことがいくつかあります。

まず、足・膝・股関節などの関節の動く範囲が狭くなっている方が多いという点です。関節の可動域が制限されると、まわりの筋肉の伸び縮みも制限され、常に軽い緊張が入り続けた状態になります。本人は「特に痛いところはない」と感じていても、身体の内側では筋肉が常に働き続けている状態になっていることが少なくありません。寝ている間も、この持続的な緊張がゆるみきらないことが、疲れの取れにくさにつながっていると感じています。

もうひとつは、「硬い自覚はあるのに、ストレッチをする習慣がない」方が非常に多いということです。硬さに気づいていても、実際に時間を取って伸ばす習慣までは持てていない、というケースをよく見かけます。分かっているけれど行動に移せない、という状態です。

さらに、寝具が身体に合っていない方も多い印象があります。マットレスや枕が身体に合っていないと、寝ている間も無意識に身体が緊張を保とうとしてしまい、せっかくの睡眠時間が十分な回復につながりにくくなります。

つまり、「寝ても疲れが取れない」背景には、関節や筋肉が常に緊張状態にあること・それをゆるめる習慣がないこと・寝具が合っていないことという3つが重なっていることが多い、というのが現場での実感です。

疲れやすい人に共通する特徴

以下に当てはまる項目が多いほど、身体への負担が蓄積している可能性があります。

• 1時間以上座り続けることが多い
• 運動習慣がほとんどない
• 肩や首に力が入りやすい
• 立ち上がるときに手をつくことが多い
• ストレスを感じることが多い
• 起床時に身体が重い

今日からできる工夫3選

① 30〜60分ごとに身体を動かす

最も簡単で効果的な方法です。

立ち上がる、軽く歩く、背伸びをする、だけでも十分です。

特に足・膝・股関節は硬くなりやすい部位です。動かす際に、大きく伸ばすようなストレッチを1~2種類取り入れると、関節の可動域が保たれやすくなります。

② 大きな筋肉を意識して使う

身体には、お尻や太もも、体幹など大きな筋肉があります。これらは小さな筋肉よりも疲れにくく、力も強いのが特徴です。

例えば、立ち上がるときは脚の力で立つ、物を持ち上げるときは膝を曲げてお尻や太ももを使う、といった意識です。

大きな筋肉を中心に全身を連動させて動くことで、負担が分散され、疲れにくくなります。

③ 寝具を見直す

以下を確認してみましょう。

• 枕が高すぎないか
• マットレスが柔らかすぎないか
• 寝返りがしやすいか

身体に合わない寝具は、睡眠の質を下げる要因になることがあります。

寝具と身体の関係については、朝起きると腰が痛い原因の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

医療機関へ相談した方が良いケース

以下の症状がある場合は、身体の使い方以外の原因が隠れている可能性があります。

• 強い日中の眠気
• 大きないびき
• 睡眠中に呼吸が止まると言われる
• 動悸や息切れ
• 急激な体重変化
• 抑うつ気分が続く
• 十分寝ても疲労感が改善しない

このような場合は、内科や睡眠外来などの医療機関へ相談することをおすすめします。

まとめ

寝ても疲れが取れない原因は、身体の使い方だけではありません。

しかし、長時間同じ姿勢・無意識の力み・大きな筋肉を使えていないことなどは、疲労感を増やす要因になることがあります。

大切なのは「もっと頑張る」ことではなく、「身体に余計な負担をかけない」ことです。

まずは今日から、30〜60分ごとに身体を動かす、大きな筋肉を意識して使う、寝具を見直す、ことから始めてみましょう。

小さな習慣の積み重ねが、疲れにくい身体づくりにつながります。

よくある質問

Q. ストレッチをする時間がなかなか取れません。効果的な最低限のやり方はありますか?
A. 毎日長時間行う必要はありません。お風呂上がりなど、身体が温まっているタイミングで1〜2分だけでも、硬さを感じる部位を中心に伸ばす習慣をつけることが第一歩です。

Q. 寝具が合っているかどうかは、どう判断すればいいですか?
A. 朝起きたときに身体のどこかに痛みやこわばりを感じる場合は、寝具が合っていない可能性があります。マットレスの硬さや枕の高さを見直してみましょう。

Q. 疲れが取れないのは、寝る時間が短いからではないのですか?
A. 睡眠時間の不足も一因ですが、それだけではありません。関節や筋肉の緊張状態、身体の使い方の癖が背景にあることも多く、時間を確保するだけでは改善しないケースもあります。

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参考文献

  • Åkerstedt T. Psychosocial stress and impaired sleep. Scand J Work Environ Health. 2006;32(6):493-501.
  • Hublin C, Kaprio J, Partinen M, Koskenvuo M. Insufficient sleep—a population-based study in adults. Sleep. 2001;24(4):392-400.

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