この記事は理学療法士歴7年・認定マッケンジーセラピスト(Cred. MDT)が執筆しています。整形外科外来やリハビリの現場での経験をもとに、できるだけ専門用語を使わず、わかりやすく解説します。
夕方になると、足がむくんで靴がきつい。すねを指で押すと、跡がへこんだまま戻らない。靴下のゴムの跡がくっきり残る。
そういう足のむくみ、「体質だから」「毎日のことだから」と、放っておいていませんか。
でも、むくみには理由があります。そして、その多くは、今日からの行動で軽くできます。
申し遅れました。はるとです。理学療法士として7年、整形外科の現場で体を診てきました(認定マッケンジーセラピスト/Cred. MDT)。むくみというと「水分の摂りすぎ」「塩分」の話になりがちですが、理学療法士の視点から見ると、実はもう1つ、大きな原因があります。それは「動き」です。
この記事では、まずあなたのむくみのタイプをチェックして、それから今日からできる対処法を、具体的にお伝えします。難しい理屈は最小限にします。
まずセルフチェック|あなたの足、むくんでる?
むくみのサイン。当てはまるものは?
- [ ] 夕方になると、足やふくらはぎがパンパンに張る
- [ ] すねの内側を指で5秒押すと、へこみが戻りにくい
- [ ] 靴下のゴムの跡が、くっきり残る
- [ ] 夕方になると靴がきつい
- [ ] 足が重い、だるい
- [ ] 朝はマシで、夕方から夜にかけてひどくなる
むくみやすい生活のサイン。当てはまるものは?
- [ ] デスクワークや立ち仕事で、長時間同じ姿勢でいる
- [ ] 日中、あまり歩かない・動かない
- [ ] 運動する習慣がない
- [ ] 冷え性である
- [ ] 塩分の多い食事が多い
上のグループ(むくみのサイン)に当てはまり、下のグループ(生活のサイン)にも当てはまる人は、この記事の対処法がそのまま役立つ、「動かないことで起きるタイプのむくみ」の可能性が高いです。
ただし——当てはまり方によっては、病気が隠れていることもあります。 その見分け方は、記事の後半で必ず説明します。まず、なぜ動かないとむくむのかを、簡単に。
なぜ、動かないと足がむくむのか(サッと解説)

ここだけ、仕組みを短く説明します。対処法が「なぜ効くか」が分かると、続けやすいからです。
足に送られた血液や水分は、重力に逆らって、心臓へ戻らなければいけません。このとき、ポンプの役割をするのがふくらはぎの筋肉です。
歩いたり、足首を動かしたりするたびに、ふくらはぎの筋肉が縮んで、血管を “ぎゅっ” と押す。これで血液や水分が上に押し戻されます。ふくらはぎが「第二の心臓」と呼ばれるのは、このためです。
ところが——長時間座りっぱなし・立ちっぱなしで、ふくらはぎが動かないと、このポンプが止まります。 すると血液や水分が足に溜まり、むくみになる。これが、動かないとむくむ仕組みです。
つまり、むくみを防ぐ一番の鍵は「ふくらはぎを動かすこと」。ここを押さえておいてください。対処法は、すべてここにつながります。
※ 女性は、月経周期や更年期などのホルモンの変動によって、むくみやすくなる時期があります。これは自然なことで、”動き”のケアと合わせて、うまく付き合っていくものです。
臨床で感じること
ここからは、私が理学療法士として現場で感じていることをお話しします。
むくみやすい人には、共通点があります。それは「動かない」ことです。 これは単に運動不足という意味だけではありません。
私が現場で感じるのは、「動きにくい体」になっている人が、むくみやすいということです。たとえば、姿勢が崩れていると、体はスムーズに動けません。猫背で体が縮こまっていたり、足首が硬かったりすると、歩いても、ふくらはぎのポンプが十分に働きません。つまり、“動いているつもり”でも、体が使えていないんです。
これは、以前書いた靴や膝の記事とも、実はつながっています。足首が硬い、足の指が使えない、姿勢が崩れている——こうした「体の使いにくさ」は、膝の負担になるだけでなく、ふくらはぎのポンプ機能も落とし、むくみにもつながっていきます。体は、すべて連鎖しているんです。
だからこそ、むくみ対策は「水分を控える」だけでは足りません。動ける体を保ち、こまめに動かすこと。 それが、むくみに対して、理学療法士として一番お伝えしたいことです。
今日からできる、むくみ対処法
ここが本題です。むくみを「流す」「溜めない」ための、具体的な方法を紹介します。難しいものはありません。仕事中にできるものから、家でやるものまで。

① ふくらはぎのポンプを動かす(一番大事)
むくみ対策の主役です。仕事の合間に、座ったままでもできます。
かかと上げ:
- 椅子に座る(または立つ)
- 両足のかかとを、ゆっくり上げて、つま先立ちに
- ストンと下ろす。これを20回
足首まわし・足首の曲げ伸ばし:
- 足首を上下にパタパタ動かす(つま先を上げ下げ)
- 足首をゆっくり回す。左右10回ずつ
ポイント: 1時間に1回を目安に。デスクワーク中も、こっそりできます。「動かないこと」が原因なので、こまめに動かすのが最も効きます。
② こまめに立つ・歩く
30分〜1時間に一度は立ち上がって、少し歩く。トイレに行く、飲み物を取りに行く、それだけでもふくらはぎのポンプが動きます。「長時間、同じ姿勢を続けない」が鉄則です。
③ 着圧ソックスを使う
外側からふくらはぎを圧迫して、ポンプの働きを助けるアイテムです。これは研究でも効果が示されています。
- 立ち仕事・座り仕事の人が、ふくらはぎ丈の着圧ソックスを履くと、夕方のむくみが軽くなる、または防げる、という報告があります。
- 長時間立って働く人のむくみ対策として、着圧ソックスが役立つことが示されています。
選び方のポイント: 日中用は、強すぎない圧のものから。きつすぎるものを無理に使うと逆効果のことがあるので、心配な場合は薬局で相談を。就寝中専用のものもあります。
④ 脚を上げて休む

家では、寝るときや横になるとき、足の下にクッションを入れて、心臓より少し高くします。溜まった水分が、重力で戻りやすくなります。10〜15分でも効果があります。
⑤ 湯船に浸かる・冷やさない
冷えは血流を悪くし、むくみにつながります。シャワーだけで済ませず、湯船に浸かって温める。夏の冷房での冷えにも注意します。
予防|むくまない体を、日頃からつくる
対処法と重なりますが、日常の習慣として意識したいのは、この3つです。
- 同じ姿勢を続けない — これが最大の予防。座りっぱなし・立ちっぱなしを避け、こまめに動く
- 動ける体を保つ — 姿勢を整え、足首を硬くしない。体が動きやすいほど、ポンプは働く
- ふくらはぎの筋力を落とさない — 歩く習慣、軽い運動で、ポンプそのものを維持する
むくみは、その日のうちにリセットするのが基本です。「毎日のことだから」と諦めず、動く習慣で、溜めない体をつくっていきましょう。
こんなむくみは、必ず医療機関へ
ここは、とても大切です。むくみの多くは生活習慣によるものですが、中には、重い病気のサインであるむくみもあります。 次のような場合は、自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。
- 片方の足だけが、急に腫れた(特に痛みや赤み、熱を伴う) — 深部静脈血栓症(血の塊が静脈に詰まる病気)の可能性があり、緊急性があります
- 両足が急にむくみだした、全身がむくむ — 心臓・腎臓・肝臓・甲状腺などの病気が背景にあることがあります
- むくみと同時に、息切れ・動悸・体重の急増がある
- 押してもへこまない、皮膚が硬いタイプのむくみ
- 数日〜1週間、対処してもまったく引かない
- 服用中の薬を始めてから、むくむようになった
むくみの原因は、静脈の問題や、内科的な病気であることも少なくありません。「たかがむくみ」と侮らず、いつもと違うむくみ、急なむくみ、痛みを伴うむくみは、すぐに受診してください。この記事の対処法は、あくまで「生活習慣による、いつものむくみ」に対するものです。
まとめ
- 足のむくみの大きな原因の1つは「動かないこと」。ふくらはぎのポンプが止まると、水分が溜まる
- だから対策の主役は「ふくらはぎを動かす」こと(かかと上げ・足首の運動・こまめに歩く)
- 着圧ソックス、脚上げ、湯船で温める、も効果的
- 予防の鍵は「同じ姿勢を続けない」「動ける体を保つ」
- ただし、片足だけの急な腫れ・全身のむくみ・痛みを伴うむくみは、病気のサインのことがある。必ず受診を
むくみは、体からの「動いて」のサインかもしれません。今日から、こまめに足を動かすことから始めてみてください。
よくある質問
Q. 水分を控えれば、むくみは減りますか?
A. 逆効果のことが多いです。水分を減らすと、体は水を溜め込もうとして、かえってむくむことがあります。適切な水分摂取は必要です。むくみ対策は「水を減らす」より「動かして流す」が基本です。
Q. 着圧ソックスは、履いて寝てもいいですか?
A. 日中用のものを履いたまま寝るのは、避けた方がよい場合があります。就寝時は、就寝専用に作られたもの(弱めの圧)を使ってください。強い圧のものを寝るときに使うと、血流を妨げることがあります。心配な場合は薬局や医療機関で相談を。
Q. むくみが毎日あります。病院に行くべきですか?
A. 毎日、夕方にむくむが朝には戻る、というパターンで、痛みや他の症状がなければ、まずは生活習慣の見直しで様子を見て構いません。ただし、急に悪化した、片足だけ、痛みがある、朝も引かない、という場合は受診してください。
個別でのご相談を承っています
ここまでのセルフケアを試しても改善しない、自分の場合の原因や対処法をもっと詳しく知りたい、という方には、個別でのご相談も承っています。理学療法士が、あなたの状況に合わせたセルフケアをアドバイスいたします。
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参考文献
- Partsch H, et al. “Calf compression pressure required to achieve venous closure…”
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15099316/ - Carvalho MR, et al. “Occupational leg edema — use of compression stockings.”
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33283063/ - たに内科・循環器・消化器クリニック「足のむくみ(下腿浮腫)の原因と受診の目安」
- 日本医科大学武蔵小杉病院 形成外科「リンパ浮腫」


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